2009年東北大、ALS治療法開発へ 神経増やす物質活用東北大大学院医学系研究科の青木正志講師(神経内科)らの研究グループは本年度、運動神経が侵され全身の筋肉が動かなくなる難病、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の治療として、神経細胞を増やす働きのある物質を活用した新治療法開発に着手した。既にラットへの実験で効果が認められており、安全性が確認されれば数年以内に患者への臨床試験を実施する方向だ。 青木講師らは、神経を含む多様な細胞を増やす働きのある肝細胞増殖因子(HGF)に着目し、ALSを発症するよう遺伝子操作したラットにHGFを投与。治療効果を検証した結果、HGFを投与したラットは、投与していないラットよりも、発症から死亡するまでの日数が1.67倍延長されることを確認した。ヒトでは2年相当延長されることになる。 今後、サルを用いた実験で安全性の検証を進め、2010年度内に厚生労働省に治験申請することを目指している。 治療法開発は11月、厚労省の「先端医療開発特区(スーパー特区)加速事業」に採択され、11年度までの3カ年事業となる。本年度は年間6億5000万円の補助を受ける見通し。 ALSは感覚や知能ははっきりしたまま、全身の筋肉が徐々に動かなくなる過酷な疾患で、進行すれば呼吸もできなくなる。患者は現在、全国で約8000人。治療薬の開発には膨大な予算を必要とすることなどから、基礎研究の成果の実用化が進まず、有効な治療法もほとんど見つかっていなかった。 青木講師は「ALS患者は増加傾向にある。世界初の治療法開発に向け、着実に成果を出していきたい」と話している。 2009年11月04日水曜日 ---------------ALSメーリングリスト maee@freeml.com |